おじいちゃんの庭(にわ)

 めぐるくんは おじいちゃんがだいすきです。
でもね、きょねんのおしょうがつに、パパやママといっしょに おじいちゃんのいえにきたとき、めぐるくんは「おとまりするんだ」ていったのに パパとママがおうちへかえってしまったら、「おうちへかえるよ〜」となきだしてしまいました。しかたないからおじいちゃんがくるまでおうちまでおくっていきました。


 にちようびのあさです。
おやっ、にわから めぐるくんのこえがきこえます。そう、ようちえんへいくようになって いつのまにかおとまりできるようになったのです。


 「おじいちゃん かいじゅう がいるよ」
と おおきなこえでよんでいます。
 「どれどれ どっこいしょ」
と おじいちゃんはそおっと あしおとをたてないで ちかづいてきました。

 「おもしろいものみつけたね。これはね、トカゲっていうものだよ。ほんとに かいじゅうみたいだねえ。」
ひなたぼっこしているトカゲのそばに、おじいちゃんはそっとゆびを近づけました。トカゲは めをあけて、おじいちゃんのゆびをぺろっとなめました。めぐるくんはおじいちゃんのうしろから、かおだけだしてみていましたが、
 「めぐるちゃんもやってみるかな」
といわれて、こわごわゆびをちかづけたけれど、トカゲは あっというまにツゲのきのなかに、かくれてしまいました。
 「トカゲはね、わるいむしをたべてくれる いいもんのかいじゅうなんだ。いろんな ふくをきたのがいるよ。キラキラひかるきものをきて、ちょっときもちわるいのもいるけれどね。ふとったのや、まだあかちゃんのや、いっぱいいるよ。ときどき ことりがつかまえにくるから、すぐくさのなかなんかにかくれてしまうんだよ。」
あしもとで またいっぴき さっと動きました。めぐるくんはもう、ちっともこわくありません。
 


 アジサイのはっぱのうえに、けむしがいました。おじいちゃんは、はっぱごととって、どこかへもっていきました。


 めぐるくんは、こんどはおおきなクモのすをみつけました。
 「おじいちゃん、クモのママとあかちゃんがいるよ。」
 「ハハハ、あのちいさいのは、クモのパパだよ。」
めぐるくんのパパは、ママよりもうんとせがたかくて、かたぐるましてもらったら、せかいじゅうがみえるのに、クモのパパは あかちゃんみたいでおかしいですね。
 「おもしろいクモがいるんだよ。ゆうがた、おおきなあみをはって、あさになったら きれいに あみをたべて おそうじしてしまうんだ。」
 「ぼく、みたいなあ」
 「きょうは、おひるごはんがすんだら、ママが おむかえにくるからこのつぎ おとまりするときに みせてあげようね。」

 「うん、ぼく おなかが すいたなあー」


えんがわから おばあちゃんが こえをかけました。
 「めぐるちゃん、もうすぐ ごはんだからおててを あらってらっしゃい。おじいちゃん、おねぎをちょっと とってきてくださいな。」
 きょうのおひるごはんは、さっき おじいちゃんが うった、おうどんです。おじいちゃんのおうどんは それは おいしくて めぐるくんは だいすきです。



 おひるねをしていたら ママのこえがしました。
 「かいじゅうがいたよ。ちっちゃなパパがいたよ。!」
ママはめをまるくしました。
 「おうどんうっといたよ。」
 「まあ、いつもありがとうございます。パパがよろこびますわ。」


 おじいちゃんと、おばあちゃんは、めぐるくんのすがたがみえなくなるまで みおくっていました。

        
                  おわり