氷の国の姫が火の国の王子と恋に落ちました

怒った父王は姫を氷河のそばの古城に閉じ込めました。

姫は昼も夜も王子を恋うる歌を歌います。

その美しい声は王子の心を掻き立てます。

王子は何度も何度も氷河を渡ろうとして失敗し

ついに帰らぬ人となりました。

氷河の氷の精たちは哀れがり、王子をそっと氷の底に寝かせました。

まるで生きているような美しさでしす。

王子が亡くなったことを知った姫は

自らも氷河に跳びこみその薄倖の命を閉じました。

氷の精たちは涙を流しながら、

姫の亡骸をそっと王子の眠る氷の底に抱いて行き

二人を並べてやりました。

いまでも氷河の割れ目の青い氷の底には

二人の眠っているのが見えるといわれています。