仕事と3人の息子との
夢中の日々を送っていた頃

いつの日か時間ができたらと
買い求めた数十冊の書籍
買うことで安心を与えてくれた本たち

未来　それはまだ来ない時

有り余る時間ができた日
魔物がやってきた
もはや目も向けられない本たち


突然　捉えていた彼がわたしのもとを去った

やっと読むことを思い出したわたし

ああ　彼はその時帰ってきた

本は閉じられた


だが　再び彼が去った日
迷わず本棚に手をやる

物語に涙した青春のよみがえり
奇しくもヘルマン・ヘッセ

明日　彼は帰ってくる

彼の手から自立ができているだろうか
道具に過ぎない彼・パソコンの本質を
もはや見失うことが
ないだろうか

　　　　　(2011/1/13)