(4)【記憶は舞台ドラマ】

幼いころ
下町に住んでいた私
まだ幼稚園に上がる前から
遊び仲間がいっぱいあった
  むかいの ひろこちゃん
お隣の やっさん
筋向いの お姉ちゃん
  すべては 断片


  第一幕
九條の親戚へつれていってやるという
むかいのお姉ちゃん
夏のある日
幼い足取りでトコトコついていく女の子


 第二幕
突然 夕立
駆け出すお姉ちゃん


  第三幕
泣きながら商店街を歩く幼子

 

第四幕
やさしいおまわりさんの買ってくれたアンパン
涙を拭いてもらいながら かぶりつく 女の子
胸に迷子札(まいごふだ)
大阪市港区壽町1丁目15番地
 

第五幕
自転車で迎えにきたおじいちゃん
 

終幕
雨にあったのだからと
お風呂を沸かして待っていた
お母ちゃん
 

幕間には何があったのか
俳優も観客も知らない