| 夫の病気について |
結婚後、病気らしい病気をしたことのなかった夫が突然病床に伏すことになった。初めは料理と健康エッセイのページに時々夫の病状を記していたのだが、これが同じような症状の方の何かの参考になるかもしれないと思い、別ページにまとめることにした。
６月22日 深夜、突然めまいと吐き気でトイレに行けない状態になった。2度嘔吐する。翌日20年ぶりに、行かないという夫を説得してお医者さんへ。レントゲン異常なし。心電図は昔からの不整脈が出ているが、それ以外何もない。血液検査の結果は1週間後にわかる予定。嘔吐した物は胃液の混じった不快な匂いがなく、深夜（午前2時ごろ）にもかかわらず、食べたものは粉々になってはいるもののまったく消化していない状態であったと医師に話したが、取り上げられず、もっぱら下痢の有無を聞かれるばかり。下痢はしていない。目まいと嘔吐を止めるお薬をもらった。
いったん症状が治まり、私は予定通り２６日三恵園の一泊旅行に付き添っていったが、帰ったら熱を出している。準備していった食べ物はほとんど残っている。聞けば庭に出て台風に備えて家庭菜園ののナスやトマトの添え木を強化しているとき雨にあったが、そのままやってしまったという。私が家にいたら止めていたのにと思ったが後の祭り。
さらに通院した日からずっと便秘である。なにを作ってもほとんど箸をつけない。食欲がまったくないのである。かろうじてお粥と梅干をこくわずか食べる。熱は９度２分。
土曜日曜の不安な休診日をすごして月曜日に診察を受ける。血液検査の結果もほとんど良好。白血球が減っているのはすでに風邪を引いていたからだろうといわれる。風邪薬と下剤を処方された。
しかし頑固な便秘に下剤はまったく効果がない。やむなく１０日にもなるので浣腸したが効果なし。むしろほんの少しずつ時を定めずに下痢便がでるので非常に困った。
翌週の月曜日お薬がなくなったが、夫はもう医者へ行かないという。言い出したら梃子でも動かないので、私がよく飲むベンザエースとエビオスとビオフェルミンを毎食後飲んでもらい、さらに胃酸が出てないに違いないと思ったので、梅と酢で作ったジュースに蜂蜜をたっぷり混ぜて（少しでもカロリーが増えるように）毎食前に飲んでもらう。老人の病気は脱水が恐ろしいと聞いていたので、スポーツ飲料を飲んでもらう。これにも少しだがカロリーがある。
酸っぱいものがいいかと、握りずしを買ってきたが、一切れ口にしただけ。
私が毎日飲んでいる１００カロリーほどの栄養補助食品を無理やりに飲んでもらったのはよかったと思う。
握りずしは唯一口にする魚なので 毎日お昼前に魚屋さんで握りずしを買うというのを日課にした。少しずつ食べる量が増え１５日あまりで１パック食べられるようになった。今では楽しみにしているように見える。（毎日握りすしとは贅沢やなあ）これに庭で採れるトマトの薄切り（今年のトマトは特においしい）と急遽作ったピクルス。
朝は通信販売で買っているクロワッサンがおいしいので一個食べる。健康補助食品とトマトジュースと薄いチーズ１切れだったのが２切れ食べられるようになる。庭で大きくなっているアロエベラの薄切りも欠かさず食べた。
夜はお粥とかぼちゃスープ、卵料理かほんの小さな煮魚。梅干にピクルス。かぼちゃスープは本当に役に立った。食欲がなくても何とか飲んでくれる。
熱のほうは毎日１分ずつという感じで下がっていって、６度９分になったときはほんとにうれしかった。それでも午後になると７度２．３分になるが、もう安心である。５日前に漢方薬局で容態を言って調合してもらった漢方薬も効き目があったようだ。毎日せんじている。昨日から午前中の気分の良いときに庭で水やりをしてくれるようになった。
さてここまで回復したのに再び悪化した。これはおかしいと夫の誕生日の前日、涙の大喧嘩をして、ついに病院へ行くことにウンと言わせる。
T病院で診察してもらい諸検査を受ける。右の肺が３分の２真っ白である。ところが痰がないのに無理に気管から吸引した液体には培養しても菌が出なかった。１０日後再び受診。やはり肺は真っ白である。４ヶ月前には全く異常なかったのだ。
若いお医者さんは平気で「原因を調べるので入院してください。癌かもしれない。」なんていう。時代が変わったんだなあと思う。
１０月２４日 入院。菌が出ていないから普通病棟である。
１０月２？日 肺の水を抜く治療が始まる。
この抜いた水の中に菌が発見される。結核性胸膜炎という診断になった。結核病棟へのお引越し。
それにしても紹介なしでの飛び込み受診だったが運がよかったと思う。
１１月２８日 ぐんぐん回復して、外出許可で耳鼻科で耳のお掃除をしてもらう。何しろ夫は小さいときに何か耳の掃除でトラブルがあったのか、耳のお掃除を他人にさせなかったのでガチガチに詰まっている。やわらかくするお薬をいただいて１週間後にもう一度通院した。その結果そばで普通の声で話せば通じるまで聴力が回復した。
その日は初めての外泊で家に帰りたらふく食べて翌日また病院へ。私がタクシーで送っていくつもりだったのに一人で帰ると、リュックサックを背負って病院へ行ってしまった。
しばらくして電話があり、「帰ったけど、病院の蛙、大海を知らずやった、こんなに体力が衰えてるとは思わなかった。ほんの少しの坂で息が上がった。」とのこと。
以上が１２月１１日現在までのあらましであるが、ここからは私の素人考えである。
６月末のあの日は、全く胃だけの症状だったのだ。あの時医者が適切に対応してくれていたらと、悔やまれる。後で聞けば循環器が専門だとのこと。しかし吐いたものに胃液のにおいが全く無いと言ってるのにそれに対応しないとは！！。
その結果、極度に食欲がなくなり栄養失調状態になったのだ。
そこで５０年以上前に患った肋膜の菌が眠りを覚ましたのだろう。だからせっかく食欲が回復し始めたころから再び悪化してきたのではないかと思う。
胃の状態は漢方薬と食事の工夫によってほぼ全快していたから、入院後の食欲が非常によく、病院食のほかに、前述のサプリメントを続けて摂り、野菜の煮物、トマトジュース、果物、納豆、お菓子、パン、チーズなど補食し、結核薬の投与が始まったから、最悪の時には４２kgに落ちていた体重がたちまち48kgまで戻ってきたのだ。
〔この続きは夫の病状その後（４）以下〕
ここから再び入院までの記録
胃液が出ないことについてお医者さんが対応してくれない以上、何とかしなければならないとインターネットの中で資料を探した。そこで見つけものはかなり役に立ったので記録した中から書きながら、入院までの病状も記したい。
Webで見つけた低酸症の症状 (3/8/20)
胃液が出ていない場合の症状
やたらとゲップがでる。
食後にすぐ胸焼けがする。
胃のなかで食べ物が満足に消化されていないように感じる。
すぐに満腹感を感じるので、ごく少量しか食べられない。
便秘がちの割合が高いが、下痢しやすい人もいる。
爪の弱い人
60才以上のひとの半数以上が胃酸不足といわれる。
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まさに夫の状態である。お医者さんに私が胃液が出ていないようだ、といったあのときにちゃんと対応していただいていたら、こんなに長い間苦しまなかっただろうし、夫の医者不信もここまでひどくならなかっただろうと思う。循環器が専門のお医者さんでも、素人がWebで知りえる知識ぐらいは常識だと思うのだが。
なお、医学的には低酸症という病名はないそうだ。
夫の病状その後 （１） （3/8/23）
薄紙をはがすようによくなるというのはこんなことなのだろうか。ごくごく少しずつだけれど着実によくなってきた。今日はじめて最高体温が３７度ジャストになった。表情も明るくなってきた。「あんたがいなかったら死んでたかも知れん」といってくれた。
夫の病状その後 （２）（3/9/11）
厳しい残暑のせいか、はかばかしくない。午後２時から５時まで気温の上がる時間に７度台になるので私は「冷血動物やねえ」と笑うが、本人は７度超えるとやっぱりしんどいようだ。朝と昼はほぼ食欲が回復して、お昼に正餐（？）。夜がまったくだめ。ちょっと多かったかなと思うと途端にお箸が進まなくなる。夫のほうの盛り付けを少なくして多く作りすぎたら私が食べるので、近頃ちょっと太ったみたい。
電車の中などで近頃夫と同じ口臭を発散させている人に気づく。「胃液が少ないね、気をつけなあかんよ」と思う。ある知り合いの精神科医に聞いたのだが食べ物が体内に消化されずに滞留していると腐敗臭はありえるということだった。今はかなり少なくなったが、ひどいときは鼻が曲がるほどだった。
夫の病状その後（３）(3/9/16)
今朝体重を量ったら４６キロだった。１６８センチ（若い頃）である。これからいかにして体重を増加させるかが課題。私の体重は減らしたいし困ったなあ。
しかしあせりは禁物と自分に言い聞かせている。
常識のうそ・ほんと (3/10/1)
その１ 夫は発病前の何年か、食後にとろろ昆布に熱湯をかけて吸い物風にするのが大好きでいつも美味しそうに食べていた。私はあまり好きでないのでめったに食べなかった。夫は「少々の病気には体内で薬が作られて自然治癒するのだから薬の材料になるものは食べないといかん」というのが口癖であった。
発病していろいろインターネットで調べたら、昆布は胃によい、胃の働きを正常にするなど言う記事があるのだが、すべて胃酸分泌を押さえるのに効果があるというのだ。市販の胃腸薬のほぼすべてが胃酸過多に効く薬であるという現状から言えば「昆布は胃によい」というのはある程度正しいかもしれないが、ただでさえ唾などの少ない夫は当然胃液の分泌も悪かっただろう。そこへ毎日昆布を食べていたのだ。
その２ 食欲のない夫に少しでもカロリーをとってもらい、かつ胃酸の分泌を少しでも多くしたいと思って梅酢に蜂蜜をたっぷり混ぜてこの３ヶ月飲んでもらっていた。ところが昨日、壜の底に残っている蜂蜜をスプーンに一杯なめたらなんとなく胃に違和感がある。インターネットでまたまた、蜂蜜は胃酸の分泌を抑えるという記事を見つけた。
その３ コーヒーは刺激がきついからと 夫が発病してから朝の食後のコーヒーを止めていたのだが、食後のコーヒーは胃酸の分泌を促すという記事を、これまたWebで見つけた。
新種のさつまいもでえらい目にあいました (3/10/20)
生協で春にサツマイモの苗を買った。何でも新品種だということで楽しみに育て１週間前に収穫したら大きいのは１個７５０g、全部で1.3kgとれた。
輪切りにして焼き芋を楽しんだが、その後がいけない。夫の通じがつきすぎて大小いっしょくたになり、夫の希望でオムツ生活に入り５日間、私は介護の真似事をした。
このままでは、やっと夫を説き伏せて行った病院へも行けない。昨日ビオフェルミン止寫薬を購入。今朝で計3回飲んだところ、便が固まってきて一度にたくさん出たので、もう大丈夫だからと、朝10時ごろお風呂を沸かし不安がる夫に無理に入ってもらった。いい気持ちそうに出てきた夫を見て心底ほっとした。
そして無事入院できたのだった。
夫の病状その後（４）(03/12/21)
体重が49.45kgになった。 あまり急テンポの体重増加なので、お医者さんは何も言われないけれど、たとえば心臓に急激な負担を与えるのではないかと不安になる。そのことを夫に話したら、夫も少し補食を減らすと言った。次にお医者さんにお会いしたら尋ねてみようと思っている。
食っちゃ寝、食っちゃ寝やもんね。
私が主に鼻に症状が出る風邪を引いてしばらくしたら、どうやら夫に感染させたらしい。午後に出る熱がここ数日２，３分高くなってきた。鼻水がよく出るようだ。熱の割には別にしんどくはないと夫は言うし、お医者さんも何も言われないから静観。私自身はほとんど回復してきたが２週間はかかったように思う。
ついに退院しました（04/02/05）
風邪も治り、かなり元気に退院することが出来ました。感謝
転居しました(04/10/01)
夫は体調が悪くなり始めたころ、庭の手入れや、家のメンテナンスが思うに任せなくなって、マンションに転居を考えていたようです。
ある日新築予定マンションの第一回のチラシを何気なく見せると、夫はココへ引っ越そうと飛びつきました。（３年６月）
すぐに申し込み、４年１０月１日に入居しましたが、その間の諸手続きは全面的に私がすることになりました。
全体の色彩計画、老人向け住宅としての諸設備の注文を初めとして、高層階にのみ可能であった間取りの変更も私の独断でお願いすることになりましたが、今住んでみてすべてＯＫだったなと思います。
２部屋を続き間として仕切りをスリガラスの格子戸によるスライドドア三枚にし、上部に、住む人のいなくなった実家から２枚の欄間を外してきてはめ込みました。畳の部屋をなくしましたから、さしずめ畳のない和風住宅といったところです。それぞれ二人の寝室として、とりあえず息子たちの使っていたベッドを入れました。
各部屋の扉もすべてスリガラスの格子戸によるスライドドアにしました。トイレのドアも車椅子対応の折りたたみドアにしましたし、いたるところ手摺をつけましたから、まさに老人ホーム仕様です。
床は転んでも大きなショックのないように、すべてコルク張りにしました。
前述の畳の部屋というのは、マンションによくあるリビングルームに続いた和室で、これは二つに仕切ってりビング側をパソコンルームとし、夫と私のパソコンと本棚、ピアノプラスなどを配置しました。リビングとの仕切りは、やはりスリガラス格子戸で２枚の吊ドアになっています。レールがありませんから、ドアを壁の陰に収納するとリビングと一間になります。
和室の半分を納戸にしました。これは長い間一戸建て住宅に住んでいた人間にとって正に正解だったと思います。
というようなわけでとても快適な生活を始めたところです。
駅から上り坂２０分の元の住居は、もう買ってくださった方の新築工事が始まっています。今は５分圏内に市役所、銀行、郵便局、デパート、スーパー３店、レストラン多数があります。
総合病院が隣のブロック、眼下に老人ホームがあって、次はあそこやねと冗談をいっております。
表紙に時々写真を載せていますが、四季折々の山の眺望が楽しめ、離着陸する飛行機、大阪のビル群を遠望できます。
引越しは本当に大変でした。荷物の５分の３を処分し更に引っ越してからも捨てる有様です。年齢的に今が引越しの限界だったなと思います。
それに病気上がりとはいえ、夫と二人の生活だったことが大きいでしょう。もし独りになってしまったらとても引越しは出来なかったと考えます。ただ感謝あるのみです。